住宅着工は3区分すべて増加
国土交通省が8月31日に公表した2026年7月の建築着工統計によると、新設住宅着工戸数は前年同月比8.2%増となった。持家、貸家、分譲住宅がいずれも増加したことが全体を押し上げた。一方、季節調整済み年率換算値は前月比1.6%減で、単純に住宅市場が一方向へ加速しているわけではない。同じ7月の民間非居住建築物では事務所、店舗、工場、倉庫が前年同月比で増加し、住宅以外にも一定の建設需要が確認された。着工統計は将来市場に供給される住宅・建物の先行指標として、不動産投資家にとっても重要なデータである。
大手50社の受注総額は13.4%減
同日に公表された大手50社の建設工事受注動態統計では、7月の総計が前年同月比13.4%減となり、2カ月ぶりに減少した。民間工事は6.1%減で5カ月連続のマイナスとなり、不動産業、金融・保険業、卸売・小売業などからの発注減が影響した。住宅着工が前年を上回る一方、大型建設会社の受注が弱いという組み合わせは、建設・不動産市場が単一の景気循環で動いていないことを示す。案件の規模、用途、発注主体によって投資姿勢が異なっているとみる必要がある。
供給増と建設コストの両面を確認
不動産市場への影響を見る際には、着工戸数の増加を直ちに供給過剰と結び付けるのではなく、地域と用途を分けて考える必要がある。人口流入が続く地域では新規供給を吸収できる一方、需要が弱い地域では空室や販売期間の長期化につながる可能性がある。また建設費、人件費、資材価格が高い環境では、発注件数や床面積だけで事業採算を判断できない。2026年後半の日本不動産市場では、住宅の着工動向と、大型民間投資の受注動向が再び同方向へ向かうのかが焦点となる。外国人投資家も全国平均ではなく、投資対象地域の新規供給と需要のバランスを見る必要がある。