東京は首都圏平均を大きく上回る
東日本レインズが9月10日に公表した8月の市場データを基にすると、東京都の中古マンション成約㎡単価は111.85万円となり、首都圏全体の81.6万円を大きく上回った。首都圏全体では成約件数が前年同月比10.5%減、成約㎡単価が3.8%下落しており、市場には調整色が出ている。それでも東京の価格水準は神奈川、埼玉、千葉と比較して突出しており、都心・駅近・築浅など希少性の高い住宅に資金が集中しやすい構造は変わっていない。したがって「首都圏価格が下がった」という見出しだけで東京の個別物件を判断すると、市場の実態を誤認する可能性がある。
東京の中でも価格差が拡大しやすい局面
東京都内では23区と多摩、さらに都心部と周辺区で価格形成が大きく異なる。近年は高額物件の取引構成が平均値を押し上げるケースもあるため、平均㎡単価をそのまま特定マンションの評価額とみなすことはできない。海外購入者が東京の物件を比較する場合、都道府県平均よりも駅別・築年別・専有面積別の成約事例、管理費、修繕積立金、長期修繕計画、賃貸需要を確認する方が実務上有効だ。特に1億円を超える価格帯では買い手層が限定されるため、資産価値が高く見える物件であっても、売却時の流動性は立地や商品性によって大きく変わる。
東京市場は「価格」から「売れ方」の確認へ
2026年後半の東京市場で注目すべきなのは、価格水準の高さそのものより、高値でどの程度の期間内に成約しているかである。在庫が増える局面では、同じエリアでも適正価格に近い物件と強気に売り出された物件の販売期間に差が生じやすい。購入者には比較検討の余地が広がる一方、売主は過去の最高値だけでなく直近数カ月の成約事例を重視する必要がある。外国人・非居住者の投資では、為替によって自国通貨ベースの取得コストも変動するため、東京の高い名目価格だけでなく賃料収益、融資条件、税・管理コスト、将来の出口まで含めて評価することが重要になる。