前年同月比では8.2%の増加

国土交通省が8月31日に公表した建築着工統計調査報告によると、2026年7月の新設住宅着工は前年同月比8.2%増となった。持家、貸家、分譲住宅がいずれも前年を上回ったことから、住宅着工全体が増加した。住宅着工統計は、建築工事が実際に開始された住宅を集計するため、新築住宅市場の供給動向を把握する代表的な公的統計である。分譲マンションや戸建て、賃貸住宅などが将来どの程度市場に追加されるかを考えるうえで、既存住宅の成約統計とは異なる情報を提供する。

季節調整値では前月から1.6%低下

一方、季節調整済み年率換算値は前月比1.6%減となった。前年同月比の8.2%増だけを見ると着工が急増しているように見えるが、季節要因を調整して直前月と比較すると動きは逆である。住宅統計を読む際には、前年同月比と前月比、年率換算値を混同しないことが重要だ。また着工戸数の増減には、前年の制度変更や駆け込み、建築確認のタイミングなどの影響が出る場合もあるため、単月だけで長期トレンドを断定するのは適切ではない。複数月の推移と地域別の供給状況を合わせて確認する必要がある。

投資家には将来の競合供給を読むデータ

賃貸住宅の投資では、現在の空室率や家賃だけでなく、1~2年後に周辺へ何戸の新築が完成するかが収益に影響する。新規供給が多い駅では入居者獲得競争が強まり、築古物件では設備更新や賃料設定の見直しが必要になる場合がある。逆に住宅需要が強い地域で供給が不足すれば、既存物件の稼働率を支える要因となる。海外投資家が日本の住宅市場を分析する際にも、地価や中古価格だけでなく、着工統計から将来供給を確認することが有効である。全国8.2%増という数字を入口に、最終的には投資対象となる都道府県、市区、駅圏の供給計画まで落とし込んで判断することが重要だ。