利用実態の変化を受け附置義務を再設計
東京都は8月28日、「東京都駐車場条例の見直しの考え方」を取りまとめた。都内では一定規模以上の建築物を建築する際、条例に基づいて駐車施設を設ける義務がある。しかし近年はカーシェアリングの普及に加え、EC拡大に伴う宅配車両の増加など、自動車利用の構造が変化している。都は実際の駐車施設利用状況を調査し、検討委員会で附置基準の見直しを進めてきた。6月8日から7月8日まで実施した意見募集には48者から188件の意見が寄せられ、今回、その結果と最終的な見直しの考え方を公表した。今後はこの方針を踏まえて条例を改正する予定としている。
開発事業では床の使い方とコストに直結
駐車場の附置基準は、不動産開発の収支に直接関係する。地下駐車場や機械式駐車場は建設費だけでなく、維持管理や将来更新の負担も伴う。逆に物流や宅配車両への対応が不足すれば、建物周辺の路上駐車や荷さばき問題につながる。今回の見直しは単純な駐車台数削減ではなく、現在の交通需要に合った施設構成へ転換する議論として捉える必要がある。マンション、オフィス、商業施設など用途によって必要な駐車機能は異なるため、条例改正の具体的な基準が開発可能面積や設計自由度にどこまで影響するかが注目される。
東京物件の投資判断では建物設備も重要に
海外投資家が東京都内の大型物件を評価する場合、立地、賃料、利回りだけでなく、駐車設備の構成や利用率、維持費を確認する重要性が高まっている。特に既存ビルでは、旧来の基準に合わせて多くの駐車スペースを持つ一方、実際の利用率が低いケースでは、将来的な改修や用途転換の余地が資産価値に影響する可能性がある。一方で宅配・物流需要への対応力はテナント満足度や運営効率にも関係する。条例改正の内容と施行時期が確定するまでは現行制度が前提となるため、開発計画では「見直し方針」と「施行済みのルール」を混同しないことが重要だ。