住宅・非住宅とも5月は取引減
国土交通省が8月31日に公表した2026年5月の法人取引量指数は、住宅・非住宅を合わせた季節調整値が269.0となり、前月比5.2%減少した。住宅合計は299.5で5.7%減、戸建ては355.0で6.2%減、マンションは250.6で4.2%減だった。非住宅は215.2で8.1%減と、住宅より大きく低下した。指数は2010年平均を100としているため水準自体は高いが、直近では法人の取得活動が前月から鈍化したことになる。登記データを基に法人が取得した既存建物の移転量を指数化しており、法人による実物不動産の売買活動を見る指標の一つだ。
売却側には「買い手の選別」が重要
法人取引量が減少する局面では、すべての物件価格が同じように下がるわけではない。立地が良く賃料収入が安定した物件には買い手が集まる一方、修繕負担が重いビル、空室の多い物件、融資評価が低い案件などでは買い手の選別が強まる可能性がある。特に非住宅の前月比8.1%減は、オフィス、店舗、倉庫などを含む法人市場の取引ペースを確認する材料になる。ただし指数は全国集計であり、個別の都市やアセットタイプの価格動向まで示すものではない。売却を検討する所有者は、全国の取引量だけでなく類似資産の実際の成約状況を確認する必要がある。
海外法人の取得・売却戦略にも流動性が影響
海外法人が日本の収益不動産を取得する場合、将来の売却先として国内法人や他の機関投資家を想定することが多い。そのため法人市場全体の流動性は出口価格だけでなく売却期間にも関係する。取引量が縮小しても優良物件の競争が続けば価格は必ずしも下落しない一方、買い手が限定される資産では価格交渉が厳しくなる可能性がある。2026年は金利水準も上昇しており、借入を利用する法人投資家は取得価格に対する要求利回りを再計算しているとみられる。今後、法人取引量が夏以降に回復するかは売買市場の重要な先行材料となる。