都市開発4制度の運用方針を改定

東京都は6月30日、「新しい都市づくりのための都市開発諸制度活用方針」と関連する運用基準を改定し、7月1日から施行した。対象となる都市開発諸制度は、再開発等促進区を定める地区計画、高度利用地区、特定街区、総合設計の4制度。これらは公開空地などの公共的な貢献を行う良好な建築計画に対し、容積率や形態規制を緩和して民間開発を誘導する仕組みだ。今回の改定では、都市開発に合わせたアフォーダブル住宅の誘導と、既存ストックを活用し地域の個性を生かすまちづくりを政策上より明確に位置付けた。

住宅供給を都市開発の公共貢献として評価

東京では住宅価格や賃料の上昇が続く中、大規模再開発が生み出す床を誰が利用できるのかが都市政策上の課題になっている。今回の改定は、単に高層化や床面積拡大を促すのではなく、開発利益の一部を住宅供給や地域価値へ結び付ける方向を強めるものとみられる。開発会社にとっては、容積率緩和を得る際の公共貢献メニューと事業採算の組み合わせがより重要になる。また既存建物を残しながら街区の魅力を高める考え方が強まれば、全面建替え以外の再生手法にも注目が集まる可能性がある。

投資家は完成物件だけでなく都市計画条件を確認

海外投資家が東京の再開発物件や開発用地に投資する場合、現在の容積率だけで将来開発可能性を判断することはできない。都市開発諸制度による緩和は、計画内容、公共貢献、地域指定などの条件に基づいて認められるため、個別案件ごとの都市計画確認が不可欠だ。一方、アフォーダブル住宅の導入が具体化する地区では、住宅用途の構成や賃貸条件が事業収支に影響する可能性がある。今回の制度改定は東京の土地価格を直ちに押し上げるものではないが、今後の大規模開発で「容積率の価値」と「公共貢献のコスト」を同時に評価する必要性を高めている。