全国の建設市場を把握する2026年度見通し
国土交通省は2026年8月31日、令和8年度の建設投資見通しを公表した。建設投資見通しは、国内建設市場の規模と構造を把握するため1960年度から毎年度作成されている統計で、住宅だけでなく公共工事や民間非住宅を含む幅広い建設活動を対象としている。不動産市場では東京、大阪など大都市の価格が注目されやすいが、地方都市では公共投資、再開発、工場・物流施設、観光関連施設などが地価や賃貸需要を動かすケースも多く、建設投資の地域的な広がりは市場分析の前提となる。
地方では人口だけでなく投資の中身が価格を左右
地方不動産では人口減少だけを理由に市場全体を一括りにすることはできない。半導体工場や物流拠点、観光施設、大学・病院の整備などによって住宅需要が増える都市がある一方、建設投資が限定的で住宅ストックの余剰が大きい地域も存在する。特に収益物件では、地域全体の人口よりも、雇用を生む投資が継続しているか、駅や主要施設へのアクセスがあるか、賃貸住宅の新規供給が過剰でないかが収益性を左右しやすい。建設投資見通しは、こうした地域経済の方向性を確認するための基礎資料となる。
海外投資家は都市名より需給構造を比較
海外投資家の間では、東京より取得価格が低く利回りが高く見える地方物件に関心が向くことがある。しかし、表面利回りだけでなく、将来の売却市場、入居者層、建物管理、修繕コスト、地域の再投資状況を確認することが欠かせない。地方都市では取引件数が少ないため、売却時に価格発見が難しくなる可能性もある。一方で、継続的な企業投資やインフラ整備が進む地域では、住宅・商業不動産への需要が長期化する余地がある。2026年度は建設投資の地域別内訳と住宅着工を組み合わせて見ることが重要となる。