貸家を含む住宅着工が減少
国土交通省は2026年10月30日、9月分の建築着工統計を公表した。新設住宅着工は持家、貸家、分譲住宅がいずれも前年同月を下回り、全体で2.7%減少した。季節調整済みの年率換算値も前月比5.2%減となった。貸家着工は賃貸住宅の将来の供給を示す指標の一つであり、賃貸住宅の建築を計画する事業者や不動産投資家にとって重要な統計となる。
着工減少と現在の空室率は別の指標
住宅着工は工事を開始した住宅を集計するものであり、現在市場にある賃貸物件の空室率や募集賃料を直接示すものではない。新規着工が減少しても、既存住宅の空室が多い地域では賃貸供給が不足するとは限らない。一方、人口流入が続く地域では新築住宅の供給動向が中期的な賃貸需給に関係する可能性がある。9月の全国統計だけで、東京や地方都市の家賃上昇を断定することはできない。
賃貸経営では地域別の需給分析が重要
海外投資家が日本でアパートや賃貸マンションを購入する場合、全国の着工動向は市場環境を把握する材料になる。ただし、投資物件の収益性は所在地、築年数、間取り、周辺競合物件、管理費、修繕費などによって左右される。貸家着工の減少を理由に将来の賃料上昇を前提とするのではなく、実際の入居需要と募集条件を組み合わせた分析が必要だ。今後の月次統計では貸家着工の減少が一時的なものか、継続する傾向なのかが焦点となる。