住宅着工は前年同月比18.6%増

国土交通省が7月31日に公表した建築着工統計によると、2026年6月の新設住宅着工は、持家、貸家、分譲住宅がいずれも増加したことで、全体として前年同月比18.6%増となった。季節調整済みの年率換算値でも前月比3.9%増加した。住宅着工統計は実際の完成戸数や売買件数ではなく、建築工事に着手した住宅供給の動きを示す指標である。新築住宅がどの程度市場へ追加される方向にあるかを把握するうえで重要で、東京など大都市圏だけでなく地方都市の住宅需給を分析するときにも基礎データとなる。

持家・貸家・分譲が同時に増加

6月は自宅として建設する持家だけでなく、賃貸住宅である貸家、マンションや建売住宅を含む分譲住宅も前年を上回った。複数の住宅用途が同時に増えた点は、単一セグメントだけの一時的な動きと区別して見る必要がある。一方、着工が増加しても完成までには工期が必要で、すぐに賃貸募集や販売在庫へ反映されるわけではない。さらに全国値の増加と個別地域の需給は一致しない。人口が増える地方中核都市、観光需要の強い地域、人口減少地域では、新築住宅の吸収力が大きく異なるため、地方不動産は地域単位で確認する必要がある。

地方投資は供給増だけでなく実際の入居需要を見る

海外投資家が地方都市の一棟アパートや賃貸住宅を購入する場合、新築供給が増えていること自体を市場成長と同義に考えるのは危険である。賃貸住宅の供給が需要を上回れば空室率や募集条件に影響する可能性がある一方、雇用や大学、病院、観光施設など安定した居住需要を持つ地域では新規供給を吸収できる場合もある。地域投資では住宅着工に加え、人口移動、世帯数、賃料、空室、主要雇用先への交通、既存住宅ストックを組み合わせて分析することが重要だ。全国の着工増加を背景情報としつつ、最終判断は市区町村や駅勢圏まで落とし込む必要がある。