無担保コール翌日物を1.0%程度へ

日本銀行は7月30~31日の金融政策決定会合で、次回会合までの金融市場調節方針として、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移させるよう促すことを決めた。採決は8対1で、高田委員は1.25%程度への引き上げを提案したが否決された。政策金利は銀行が個人へ提示する住宅ローンや投資用ローン金利そのものではないが、日本の金融市場全体の資金調達コストを形成する重要な基準である。不動産価格が高水準にあるほど、借入金利変化が取得可能額や投資採算へ与える影響は大きくなりやすい。

低利回り物件では金利上昇への余力が縮小

収益不動産では賃料収入から運営費を差し引いたNOIと借入コストの差がキャッシュフローを左右する。価格上昇によって取得時利回りが低下している物件で融資金利が上がれば、高い借入比率を使うほど空室や修繕費増加への余力が小さくなる。住宅購入者についても、変動金利と固定金利では市場金利の影響経路が異なるため、「日銀の政策金利が1.0%だから住宅ローンも1.0%」という関係ではない。実際の融資条件を用いた返済計算が必要となる。

現金購入者にも将来の買い手の融資環境が影響

海外投資家の中には円安を背景に日本不動産を全額現金で取得するケースもあるが、国内金利を無視できるわけではない。現金買主自身に利払いがなくても、将来売却する際、日本の買い手が借りられる金額や投資家が要求する利回りは金融環境の影響を受ける。その結果、買い手層や価格形成が変わる可能性がある。日本不動産の投資判断では政策金利だけでなく、長期金利、銀行の融資姿勢、物件利回り、賃料上昇が資金コスト増加に追いついているかを合わせて見ることが重要になる。