景観法改正を受けた新制度で富山市をモデル選定
国土交通省は8月6日、景観エリアリノベーション事業のモデル都市として富山県富山市を選定したと発表した。同事業は2026年5月27日に公布された景観法改正に伴って創設された「景観再生事業」で、個別建築物だけではなく地域を面的に捉え、景観と建物利用を再生する考え方を採る。全国からの応募を踏まえて富山市がモデル都市に選ばれ、国が先導的な取り組みに伴走支援する。対象となるのは南富山駅周辺で、地域の日常生活を支える景観の再生と、駅周辺の拠点性を生かした建物利用への転換を同時に検討する点が特徴となる。
民間事業者を探し、官民連携で建物利用転換を検討
今後の富山市では、協働事業を行う民間事業者の探索や、官民連携のあり方について検討し、実際の事業導入につなげる。これは公共空間だけを行政が整備する従来型の景観施策とは異なり、駅周辺に存在する建物や土地の使い方を含めて地域を再構成しようとする取り組みといえる。国交省はモデル都市を追加する可能性も示し、富山市での進捗を全国の地方公共団体や民間事業者へ発信する予定としている。成功事例が形成されれば、駅周辺の既存ストックを活用する地方都市再生の一つの手法として他地域へ広がる可能性がある。
地方不動産は計画区域と事業化の進捗を見極める必要
地域再生プロジェクトが発表されると周辺不動産への期待が高まりやすいが、モデル都市への選定だけで土地価格や賃料の上昇が保証されるわけではない。現時点では民間事業者の探索や官民連携手法の検討など、事業形成の段階にある。投資家が南富山駅周辺を評価する場合は、駅からの距離、既存建物の用途、地域人口、商業・生活需要に加え、今後どのエリアで具体的な事業が実施されるかを確認する必要がある。海外投資家にとっても、地方不動産では「国のモデル事業」という名称より、実際の建物用途転換と利用者需要が資産価値に結びつくかが重要な判断材料となる。