成約減、価格下落、在庫増がそろう

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は9月10日、2026年8月の月例マーケットウオッチを公表した。首都圏中古マンションの成約件数は3,180件で前年同月比10.5%減となり、前年割れは5カ月連続。成約㎡単価は81.6万円で同3.8%下落し、4カ月連続のマイナスとなった。一方、在庫件数は前年同月比8.2%増え、6カ月連続で前年を上回った。2025年まで長く続いた「価格上昇と在庫不足」という局面から、2026年春以降は取引量の減少と在庫積み上がりが目立つ局面へ移りつつある。単月の価格下落だけで市場全体の反転を断定することはできないが、需給が以前ほど売り手優位ではなくなっていることを示すデータである。

高値圏の中で購入者の選別が強まる

重要なのは、価格水準そのものが過去数年との比較で依然高い一方、実際に成立する価格と売り出し側の期待価格の間に差が生じやすくなっている点だ。住宅ローン金利の上昇、物件価格の高騰、管理費・修繕積立金など保有コストの増加は、購入可能額を抑える方向に働く。海外投資家にとっても、円換算の取得価格だけでなく、賃料収入に対する購入価格、管理コスト、空室、将来売却価格を含むネット利回りの確認が一段と重要になる。在庫が増える局面では選択肢が広がり、駅距離、築年、管理状態、耐震性など物件ごとの差が価格に反映されやすい。

9月以降は在庫と成約価格の関係が焦点

今後の焦点は、在庫増加が一時的な季節要因にとどまるのか、売却期間の長期化や価格調整につながるのかである。売主側は過去の高値成約だけを基準に価格を設定すると、現在の買い手の予算との乖離が拡大する可能性がある。一方、購入者にとっては市場全体が急落したとみなすのではなく、同じ駅・面積・築年帯の直近成約を比較する必要がある。2026年の首都圏市場は、指数や平均価格だけを見る局面から、物件ごとの流動性と実際の成約条件を精査する局面に入ったとみられる。9月以降も成約件数、在庫、新規登録価格、成約価格の4指標を併せて見ることが市場判断の鍵となる。