前年比では増加、季節調整値は前月割れ

国土交通省が8月31日に発表した2026年7月の建築着工統計によると、新設住宅着工は持家、貸家、分譲住宅がそろって増加し、全体で前年同月比8.2%増となった。一方、季節調整済み年率換算値では前月比1.6%減少した。6月は前年同月比18.6%増、季節調整済み年率換算値も前月比3.9%増だったため、前年との比較では強さを維持しているものの、前月からの勢いはやや鈍った形だ。また民間非居住建築物では事務所、店舗、工場、倉庫が前年同月比で増え、住宅以外の建設活動にも広がりが見られた。

着工は数カ月先の供給を読む先行指標

住宅着工統計は完成物件の販売件数ではなく、建設に着手した住宅を集計するため、将来の新築供給を読む代表的な先行指標となる。貸家着工が増えれば将来の賃貸在庫が増える可能性があり、分譲住宅の増加はマンションや戸建て供給に影響する。ただし全国で着工が増えても、東京23区の駅近マンションと人口減少地域の賃貸住宅では需給環境がまったく異なる。建築費、人件費、用地価格が高い局面では、着工戸数の増加がそのまま住宅価格の低下につながるわけでもない。供給戸数と供給コストを分けて見る必要がある。

海外投資家は完成時の競合物件まで考慮

新築賃貸住宅や一棟物件を購入する投資家にとって、着工統計は将来の競合供給を考える材料になる。現在は賃貸需要が強い地域でも、周辺で多数の貸家やマンションが完成すれば募集条件に影響する可能性がある。一方、供給が少ない地域では既存物件の希少性が高まることもある。海外投資家は現在の家賃と入居率だけでなく、周辺の建築計画、再開発、住宅着工を確認することで、数年先の競争環境をより正確に評価できる。今後は8月以降も着工が前年を上回るか、金利や建設費上昇が新規供給を抑えるかが焦点になる。