既存ストックを使い家賃負担を抑える

東京都は8月19日、「リノベーションによるアフォーダブル住宅供給チャレンジ事業」の第1回応募について、民間事業者の提案1事業を選定したと発表した。制度は、民間活力や既存住宅ストックを活用し、手頃な価格で安心して住める住宅の供給と地域まちづくりを進めることを目的としている。新築住宅を増やすだけではなく、既存建物を改修して住宅として再生する点が特徴だ。東京では住宅価格と家賃の上昇が家計負担の問題となっており、既存住宅の再利用は供給量確保と建築コストの両面から注目される政策手法となっている。

既存賃貸住宅の競争環境にも影響

アフォーダブル住宅の供給が増えれば、対象地域では一般の賃貸住宅と入居者層が一部重なる可能性がある。一方で、老朽化した住宅を放置するのではなく改修して利用する取り組みは、地域全体の住宅品質向上や空室削減につながる可能性もある。不動産オーナーにとっては、単純な家賃最大化だけでなく、改修費と長期稼働率を組み合わせた運営が重要になる。今回の選定はまだ一つの事業であり、東京の家賃水準全体を変える規模ではないが、東京都が「既存ストック活用+手頃な賃料」を住宅政策の一つとして明確に進めている点は、賃貸市場を分析するうえで注目される。