5月の取引量は2カ月連続で弱含む

国土交通省は8月31日、登記データを基に個人が購入した既存住宅の取引量を指数化した「既存住宅販売量指数」の2026年5月分を公表した。戸建てとマンションを合わせた季節調整値は125.0で、前月比3.5%減。床面積30平方メートル未満を除く合計も114.3で2.9%低下した。内訳では戸建てが124.6と3.4%減、マンションが124.2と4.4%減った。4月も合計指数は前月比1.3%低下しており、少なくとも春以降は取引量に勢いが出にくい状況が続いている。指数は2010年平均を100としており、長期水準ではなお高いものの、直近の方向としては調整が確認できる。

価格上昇と取引量は別に見る必要

日本の住宅市場では、東京都心など一部地域で高額な成約事例が注目されやすいが、市場の健全性を把握するには価格と取引件数を分けて見る必要がある。5月は特にマンションの前月比低下が大きく、30平方メートル未満を除いたマンションでも4.1%減だった。投資用ワンルームを含む指数だけの特殊要因ではなく、より一般的な広さのマンションでも取引量が減少したことになる。一方、これは全国集計であり、東京23区や大阪、地方中核都市などの個別市場が同じ動きをしているとは限らない。物件選定では全国指数を市場環境の基準線とし、地域別の成約データや在庫、価格推移を重ねる必要がある。

海外買主にも「売り出し価格より成約量」が重要

外国人や非居住者が日本の中古物件を検討する場合、円換算後の価格や表面利回りだけで判断すると、市場の流動性を見誤る可能性がある。取引量が弱くなる局面では、売主の提示価格が直ちに下落するとは限らない一方、売却までの期間や価格交渉の余地が変化することがある。特に将来の出口を重視する投資では、その地域で実際にどの程度の物件が成立しているかが重要になる。今後は6月以降の指数が反発するか、マンションの減少が続くかが焦点となる。金利上昇局面でもあるため、購入者の資金調達力と売主側の価格期待のずれが取引量にどう表れるかを継続的に確認する必要がある。