売買代金から原則10.21%を控除
国税庁が2026年4月1日現在の法令に基づき案内している制度では、非居住者や外国法人から日本国内の土地、建物などを購入し、その譲渡対価を国内で支払う者は、原則として支払額の10.21%に相当する所得税・復興特別所得税を源泉徴収する必要がある。源泉徴収義務者は法人に限られず、原則として代金を支払う買主側である。ただし、譲渡対価が1億円以下で、買主が個人であり、自己または親族の居住用として取得する場合には源泉徴収が不要となる例外がある。このため、同じ3,000万円の住宅売買でも、買主が法人か居住目的の個人かによって決済時の取扱いが異なり得る。
10.21%は最終的な譲渡所得税ではない
実務で誤解されやすいのは、売買代金の10.21%がそのまま売主の最終税負担になるわけではない点だ。不動産の譲渡所得は、原則として売却代金から取得費や譲渡費用、適用できる特別控除などを差し引いて計算する。したがって購入時より安く売却した場合や取得費が高い場合でも、決済時には源泉徴収が必要になるケースがある。その後、非居住者が日本で確定申告を行い、実際の譲渡所得に基づく税額と既に源泉徴収された額を精算する。源泉徴収額が最終税額を上回れば、申告により還付を受けられる可能性がある。
海外売主は手取り額と申告手続を事前に分けて考える
海外居住の所有者が日本不動産を売却する場合、契約価格と決済日に受け取る金額が一致しないことがあるため、資金計画への影響は大きい。例えば源泉徴収対象なら、売買代金から税額が控除された残額が売主への送金額となる。さらに仲介手数料、登記関連費用、ローン返済などがあれば実際の手取りは減少する。国税庁は海外勤務中の不動産売却について、還付を含む確定申告を行うことが可能であり、必要に応じ納税管理人に関する手続も示している。税務上の居住者・非居住者判定や特例適用は個別事情によって異なるため、決済時の源泉徴収と最終的な譲渡所得税を別の段階として整理することが重要である。