資材は供給不足より価格の粘着性に注目
国土交通省が8月25日に公表した主要建設資材需給・価格動向調査では、8月1~5日時点で調査対象となった7資材13品目の需給はすべて「均衡」、在庫も対象品目についてすべて「普通」だった。価格動向はH形鋼が前月比「やや上昇」、その他の資材は「横ばい」とされた。深刻な全国的資材不足が示されているわけではない一方、価格が大きく下落している状況でもない。新築開発だけでなく中古ビルやマンションの大規模修繕でも、資材単価が高止まりすれば工事予算に影響するため、物件取得時には現在の修繕積立金だけでなく将来工事費を意識する必要がある。
建設8職種は1.2%不足
同日に公表された建設労働需給調査では、7月の全国8職種の過不足率は1.2%の不足となった。6月の1.0%不足から不足幅が0.2ポイント拡大した一方、前年同月の1.6%不足よりは0.4ポイント改善している。9月、10月の労働者確保見通しは「普通」とされた。人手不足が急激に悪化しているというデータではないが、建設現場では資材が確保できても技能労働者や施工会社の日程がボトルネックになることがある。特に短期間でのリノベーションやテナント入替工事では、工事単価だけでなく着工可能時期が収益に影響する。
中古物件購入では改修見積もりを取得価格と一体化
海外投資家が日本の中古一棟ビル、戸建て、区分マンションを購入する際、物件価格が割安でも取得後に高額な設備更新や内装工事が必要なら総投資額は大きく変わる。築年数の古い建物では外壁、防水、給排水、空調、エレベーターなどの更新時期を確認し、可能であれば決済前に概算工事費を把握したい。現在の資材需給は安定しているものの、人件費を含む施工価格が過去の見積もりと同じとは限らない。投資判断では「購入価格+諸費用+当初改修費+中期修繕費」を一つの取得原価として捉えることが、利回りの過大評価を防ぐ実務的な方法となる。